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最近、研究上の必要から Python を用いた画像処理技術の習得に励んでいる。私は中学生の頃から趣味で C 言語プログラミングに勤しんできたが、画像処理には触れてこなかった。Python の基本的な部分は習得したので、実際の研究上の処理を行いながら画像の扱いを学んでいる次第である。主にインターネット上で情報収集しながら学ぶにあたり驚くのは、こうした分野の技術的情報をウェブ上などで公開している人々の社会問題への意識の低さである。典型的なのが Lenna と呼ばれる女性の画像をサンプル画像として掲示している人の多さである。
Lenna の画像についてはWikipedia などに経緯がまとめられている。この画像は、もともと 1972 年の『プレイボーイ』誌に掲載された女性の画像であったらしい。これを学会発表の際にサンプル画像として使用した者がいたのだが、これが陰影や平坦領域など様々な要素が含まれているためにテスト画像として優秀だとして、他の人々もテストに使い始めたのだという。なおプレイボーイといのは、女性の性的な姿態を得意とする写真雑誌である。テスト画像として広く使われた写真そのものは、それほど卑猥なものではないが、出展が猥褻雑誌であることは間違いない。
そもそも、そうした猥褻な写真をテスト画像に使うこと自体、品性を疑う。さらに、元々が写真雑誌なのだから、著作権上、および肖像権上の問題も生じる。プレイボーイ社も、この写真を使うことについて明示的な許諾はしていない。それにもかかわらず、平然と、この画像を使って画像処理方法を説明しているウェブサイトは非常に多い。
さすがに近年では Lenna の画像が使われる頻度は下がっているいようであるが、2010 年代まではしばしば使われていたようである。現在でも、ウェブサイト上で公然とこの画像を「標準画像」として紹介している大学教員も存在するのは驚きである。