これはhttp://mitochondrion.jp/に掲載している「医学日記」を 検索用に 1 記事 1 ファイルとして形成し直したものです。 簡単なプログラムで自動生成しているので、体裁の乱れなどが一部にあるかと思われます。 通して読むには、トップページからオリジナルページにアクセスしてください。
私は当時、毎週木曜日にいわゆる外勤として、市中病院の病理部で非常勤医として働いていた。そのうち第三木曜日であったか、一回分を減らし、関東の病院に行くよう命じられたのである。この派遣に伴い、交通費相当額に加えて手当として 4 万円が、派遣先の関東の病院から私に支給された。名目としては診療の補助ということであり、病理部における切り出しを私が行い、それに伴う謝金というような名目であったと思う。 しかし常識的に考えれば、勉強に来る新人医師のために受け入れ側が報酬を払う、というのは、理解できない構図である。さらにいえば、もともと私が行っていた外勤先では日当 7 万円という破格の待遇であったから、それが 4 万円に減ったことで、私にとっては実質的に月 3 万円の減給となった。先にも書いたが、この派遣は教授からの一方的な命令であり、私が希望したものではない。
私に対してこれだけの謝金を払うことは、先方にとっても大きな問題があった。当時、東京近郊における非常勤病理医の日当は 4 万円程度が相場であったらしい。そこでわざわざ北陸医大から勉強に来る新人に対して上述のような金額を支払うことは、その受け入れ側病院に所属する医師の待遇とのバランスを欠いており、具合が悪いのである。それでも私を受け入れたのは、北陸医大 (仮) 教授と受け入れ側教授との個人的な関係によるのだろうが、詳細は知らぬ。
さらに、以前、現在と同じ mitochondrion.jp に書いていた日記を一旦削除・閉鎖したのは、この腎臓事件と関係がある。この関東の病院への派遣を言い渡された際、北陸医大教授から「ついでに言うが」というような感じで、「これまで敢えて見逃してきたが、ブログをやめなさい」と命じられた。むろん、業務とは無関係なところで個人的に行っている執筆活動について職場の上司から命令される筋合いはない。しかし私は日記の中で北陸医大に対する批判を公然と行っており、また北陸医大が実際にはどこの大学であるのか、調べればすぐわかるような形で書いていたことから、就業規則に抵触する疑いはあった。というより、刑事・民事的な責任という意味での不法性はないにせよ、懲戒処分を受ける恐れはある、という覚悟の上で私は書いていた。そのような、分が悪い、という自覚はあったので、教授の命にとりあえずは従って、日記を削除したのである。
今から思えば、あの時点で、退職を覚悟して教授に抵抗するという選択もありえた。ただ当時は専攻医・大学院生の身分であり、ふたたび中退・退職した場合に立て直せるのかはっきりしなかったこと、また何としても北陸医大で専門医資格と学位を取るという、振り返ってみれば意味のない覚悟を持っていたために、「辞める」という選択を検討すらしなかった。視野狭窄であった、といわざるをえない。
さらに、初めて東京の派遣先病院に行った際、先方の教授から「うちに対する批判をブログに書かれては困る。書くなら辞めてもらう。」と通告された。一方で、その派遣先病院のベテラン病理医からは「ほとぼりがさめた頃に、また別のところで再開すればよい」とも言われた。これらのことから想像するに、この病院の医師がまず私の日記と正体について察知し、先方の教授から北陸医大教授に念押しがなされ、それを受けて北陸医大教授が私に閉鎖を命じたのであろう。
度量の小さい教授である。