これは http://mitochondrion.jp/ に掲載している「医学日記」を、諸般の便宜のために、 1 記事 1 ファイルとして形成し直したものです。 簡単なプログラムで自動生成しているので、体裁の乱れなどが一部にあるかと思われますが、ご容赦ください。


2013/08/30 医学部生の上下関係

私の立場では書きにくい問題ではあるが、非常に気になるし、また、医学部の重大な悪習の一つと思われるので、敢えて書くことにする。

名古屋大学に限らず医学部においては、先輩後輩の関係が強固であるらしい。上級生に対しては慇懃な敬語で話し、下級生に対しては尊大な態度も許されるようである。これは相手との親しさにほとんど関係がないらしく、下級生相手であれば、初対面の相手であっても敬語など使う必要はないらしい。これは、実に不思議な習慣である。会社における上司と部下の関係であるとか、研究室などにおいて指導する側とされる側の関係であるとか、そういう明確な人間関係の上下があるならともかく、どうして学年によって立場の上下が規定されねばならないのだろうか。

このことに違和感を感じている編入生や再受験生は多いのではないか。私の同期の編入生には博士課程を修了し、学位も取得した英才がいる。私とは異なり、きちんと修了したのである。彼は当然、ほとんどの学部学生より年長であり、学識にも富んでおり、その豊かな才覚を医学の分野において遺憾なく発揮しているのだが、五年生や六年生の学生からは「目下の相手」と認識されるようである。どうして、現在の学年が、それほどまでに重要な意味を持つと考えるのか。つい先日までは自分よりはるかに上級生であった相手に、どうして、そのような態度がとれるのか。思考停止して、人の中身をみずに肩書だけで判断していないか。これだから、医学部は偏差値が高いだけの馬鹿の集まりと揶揄されるのだ。

およそ編入生は、過去に別の分野で何らかの活躍をなし、その経歴が医学においても活かされると期待されたがために、特別に二年次や三年次への編入が許可されたのである。多くの再受験生も同様である。もし、その期待を裏切れば、我々は単に年を経ただけの学生であり、周囲に蔑まれるのは当然である。しかし、期待に応え続ける限りにおいては、そのような扱いを受けるいわれはない。

私は、年長だから偉い、とか、大学院経験者だから偉い、とか言っているわけではない。むしろ、年長であっても学識に乏しく意欲を欠く学生は、侮蔑されるべきである。だが、学年の上下を基準として態度を変えるのは合理性を欠くし、「医学部以外で学んだ経験は医師たる上で何の役にも立たぬ」というような傲慢な思想の発現であるように思われる。

2013/09/02 タイトル修正
2013/09/06 タイトル修正・語句修正

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